始域や終域が空集合の写像|空関数と単射性と全射性
始域や終域が空集合の写像って?
$f: \varnothing \rightarrow \NN$ とか
$g: \NN \rightarrow \varnothing $ とか
$h: \varnothing \rightarrow \varnothing $ とか
集合 $A, B$ の直積 $A \times B$ の部分集合 $f$ が、各 $a \in A$ に対して条件
を満たすとき、$f$ を $A$ から $B$ への写像と呼び $f: A \rightarrow B$ と書く。
写像 $f: \varnothing \rightarrow B$ について考えよう
$a \in \varnothing$ は常に偽だから……
$f: \varnothing \rightarrow B$ は写像?
論理式 $\forall a (a \in A \Rightarrow P(a))$ の略記だから……
$\forall a (a \in \varnothing \Rightarrow P(a))$ の略記か
$\varnothing$ から $B$ への写像は $\varnothing$ だけってことか
集合 $X, Y$ に対し $X$ から $Y$ への写像全体を $\mathcal{F}(X, Y)$ と書くことにする。
空でない集合 $A, B$ に対し \begin{align} \mathcal{F}(\varnothing, B) &= \cbr{\varnothing} \\ \mathcal{F}(A, \varnothing) &= \varnothing \\ \mathcal{F}(\varnothing, \varnothing) &= \cbr{\varnothing} \end{align} である。
$\varnothing \times B = \varnothing$ であり、その部分集合は $\varnothing$ だけである。また $$\forall a \in \varnothing, \exists! b \in B, (a,b) \in \varnothing$$ は真なので、$\varnothing$ は $\varnothing$ から $B$ への写像である。
$A \times \varnothing = \varnothing$ であり、その部分集合は $\varnothing$ だけである。また $A \neq \varnothing$ なので $$\forall a \in A, \exists! b \in \varnothing, (a,b) \in \varnothing$$ は偽である。よって $\varnothing$ から $B$ への写像は存在しない。
$\varnothing \times \varnothing = \varnothing$ であり、その部分集合は $\varnothing$ だけである。また $$\forall a \in \varnothing, \exists! b \in \varnothing, (a,b) \in \varnothing$$ は真なので、$\varnothing$ は $\varnothing$ から $\varnothing$ への写像である。
$g: \NN \rightarrow \varnothing $ は存在しない
$h: \varnothing \rightarrow \varnothing $ は唯一つ存在して $h = \varnothing$
ってことか
空関数って呼ばれたりするよ
空関数は単射? 全射?
単射かどうか 全射かどうか
が気になるよね
写像 $f: A \rightarrow B$ が全射とは \begin{align} \forall b \in B, \exists a \in A, (a, b) \in f \end{align}
$A = \varnothing, B \neq \varnothing$ のときは偽で
$A = B = \varnothing$ のときは真か
集合 $B$ は空でないとする。このとき
$\varnothing: \varnothing \rightarrow B$ は単射であるが全射でない。
$\varnothing: \varnothing \rightarrow \varnothing$ は全単射である。
$\varnothing: \varnothing \rightarrow \varnothing$ が単射であること
これらの主張は $\forall a_1, a_2 \in \varnothing, P(a_1, a_2)$ の形の命題なので真。
$b \in B$ を一つ取ると $\exists a \in \varnothing, (a, b) \in \varnothing$ は偽なので全射ではない。
この主張は $\forall b \in \varnothing, P(b)$ の形の命題なので真。